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森羅万象
読書虫のための文芸事情

「訪泰記」   Beganさん(寄稿)


登場人物
 日本人 5人
 タイ人 (約)13人
とき
 2005年2月20日(日)
ところ
 埼玉県南部にある西川口会館



 サワディカップ。
 これはタイ語で「こんにちは」。そして「さようなら」も意味する便利な言葉です。
 タイからの留学生たちが住む寮へ遊びに行きました。この話の発端は越冬こあらさん。Q書房学生掲示板で宣伝していたので覚えがあるかもしれません。こあらさんはタイ在経験があるそうで、そのときの友人の紹介で彼ら留学生と知り合ったそうです。今回行ったメンバーは、こあらさん、こあら夫人、こあら夫人の友人、Q書房詩人・そらさんの友人、Beganの日本人五人、そしてこあらさんの友人ウーちゃん(ニックネーム)。
 駅からはバスで寮へと向かいます。バスの中で、ウーちゃんからタイ語の声調を習いました。中国語で言う四声「まぁまぁまぁまぁ」です。ひとつの音を言うのにも、平べったく発音したり、抑揚をつけて高いところから低いところへ落としたり、使い分けるのがなかなか難しい。それをウーちゃんに言うと、日本語にも難しい抑揚があるとのこと。花より団子、犬も歩けば棒にあたるなどなど、日本語は抑揚豊かな言語だなと再発見しました。
 「ちびっこ広場入口で下りるよ」とこあらさんが言うので、どうせいつもの冗談なのだろうと笑ったのですが、なんとほんとにそれが目的のバス停なのでした。
 寮に着いてまず目に付いたのは「西川口会館」という名前。埼玉県南部と言っても、ここは西川口ではありません。なのに、何故か西川口という名前が付いています。ともあれ、なかなか立派な寮でした。四階建てで、各階の高さが大きめにとられゆったりとした感じです。玄関で何人かが出迎えてくれました。そして、その寮の食堂へ。食堂とは言っても机が二つ並ぶだけ。普段は自室で食事を取っているそうです。食堂には他にコンピューターが四台置いてありました。
 自己紹介です。十人以上いました。一度には覚えられず、後から何度も聞き直したことは言うまでもありません。タイでは本名で呼び合うことは少なく、ニックネームで呼び合います。例えば、「ピアン」。タイ語でオンリーの意味だそうです。生まれたときに付けてもらったニックネームを、ずっと使い続けているそうです。また、「モー」は医者。「シンジャイ」は、正しい意味は忘れましたが、声調を少し間違えると「死んじゃえ」のような意味になるそうです。何度も声調を直されました。「武」というニックネームの子もいました。これは、現在通っている日本語学校で先生に付けられたものだそうです。彼らは皆同じ日本語学校に通っていて、それぞれに日本人のニックネームをもらったらしいのですが、実際にそれを使っているのは武だけです。
 彼らは国費留学で日本に来ています。それも、とても太っ腹な留学プログラム。まず、日本に来て一年目は日本語学校に通い、そして受験をして大学に入学します。卒業後は院に行くことも可能です。トータルで5年以上の学費+生活費の一部を国が払ってくれるそうです。こんなプログラムに選ばれてくるのだから、彼らはずば抜けた才能を持っているのでしょう。そうは言っても、日本語を身に付けるのは大変です。もし来年の受験で大学に入り損ねると、その時点で国へ帰らねばなりません。外国人留学生は、大学入学試験の前に「日本留学試験」なるものを受ける必要があります。その問題を見せてもらったのですが、難しいです。例えば、受験英語でよくあるような長文要約の日本語版がありました。英語は論理的と言われる反面、日本語はいい加減です。つまりは、まとまりのない文章をまとめる問題です。そんな試験を6月に受けるのですから、彼らも大変です。また、日本語学校に通っている今は、日本人の友人がなかなかできないそうです。日本人の友人と話す中で日本語を身に付けたい、というのと同時に、大学の情報が欲しいという気持ちも強いようでした。いきなり進路相談をされてしまい、焦りました。「マスコミ」の勉強がしたいと言われても、そんな学科は聞いたことがありません。後にわかったことですが、この世には「新聞学科」というものがあるそうですね。全く知りませんでした。
 さて、ここで宣伝です。彼らと話すのはとても楽しかったです。日本のことが好きだと言ってくれるので、こちらもタイに(行ったことはないけど)親近感を持ってしまいます。それが引き金となって、タイの言葉や文化に興味が湧きました。これをご覧になっているQ書房学生諸氏は是非、彼らにコンタクトをとってみてください。こあらさんやこのBeganにひとこと言ってもらえれば、後は簡単、電車とバスで彼らのもとへ行くことができてしまいます。どうぞ、気軽に声をかけてください。進路の相談を受けるのにも、一人より二人、二人より大勢の方が心強いです。よろしくお願いします。

 慣れないですます調に肩が懲りました。彼らが作ってくれたタイ料理のこと、タイ語は表音文字だ云々の話、まだまだ話し足りないことがございますが、宣伝という使命も果たしたことですし、このあたりでレポートを終わりにしたいと思います。
 最後に題名の解説を。タイ語を話す人々に囲まれていたせいでしょうか、彼らの西川口会館を後にしたとき、タイを旅行してきたような不思議な気がしました。それで訪泰記なる題名をつけたのですが、オチまで書き上げることができず残念です。
 ここまでお読みいただいたみなさまと、すばらしい機会をくださったこあらさんに感謝いたします。

Began



▲こあらさんの友人ウーちゃん(左下)とタイからやってきた元気な留学生の皆さん

05/3/19/Began
                                   

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