| . | 森羅万象
読書虫のための文芸事情
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 | 中沢けい氏プロフィール●1959年生れ。明治大学政治経済学部卒。18歳の時、小説『海を感じる時』で第21回群像新人賞を受賞。つづいて小説『水平線上にて』で第7回野間文芸新人賞を受賞。著書に『女ともだち』『喫水』『仮寝』『豆畑の夜』『楽隊のうさぎ』などがある。近々『楽隊のうさぎ』の続編が刊行される。日本文芸家協会会員。創作活動のほかに日本大学等で後進の指導にあたられるなど、日々多忙にお過ごしのようです。写真は中沢けい公式サイトからお借りしました。ちなみに管理人は、ながしろばんりさんです。新装開店しました。
 写真左から▲2004年1月22日、江古田にて 『海を感じる時・水平線上にて』(講談社) 『楽隊のうさぎ』(新潮文庫) 最新刊『うさぎとトランペット』(新潮文庫)挿画・装丁は小林孝亘さん |
作家・中沢けいさんとお会いしました。新宿タイムズスクエア2階大玄関前での待ち合わせ。11月9日、午後のことです。 待ち合わせ時間に少々早めに新宿駅到着。と、前方をふらふらと歩く大仏様然とした後頭部を発見。言わずもがな、ながしろばんりさんです。今回のお膳立てをしてくれました。 暫し二人で立ち話。そうこうするうちに、ひょいと現れた中沢けいさん。お写真を拝見していたので、すぐと中沢さんと分かりました。写真そのままです。まさしくPontormo30歳の時に大話題となった「中沢けい」さんが、目の前にお立ちになっていたのであります。 挨拶もそこそこに「煙草は?」と問われ「もちろんです」と煙り無くしてなんにも出来ないPontormoですから、中沢さんが愛煙家と知ってまずは安堵。ではと中沢さんの誘導で三人は同じフロアーの「GOOD TIMES」に席を占めることになりました。午後まだ早きなので、お茶でも飲みながらと思いつ、そんなはずがないと内心にあった通り、三人は生ビールになりました。その日はビールが旨い陽気だったのです。暫しの歓談、歓飲、歓笑。 気さくの一言です。初対面で正体不明の男に中沢さんは惜しみもなくお話してくれました。内容は多岐に渡って無尽蔵です。さすが大学で教えていらっしゃるお方だと、文学談義を堪能させていただきました。 「失敗したかも……」 何やらボソっと呟いた中沢さんでした。呑むんだったら別の所があったというわけです。 三人は河岸を変え、中沢さんが以前使っていたという、近所の焼き鳥屋さんです。QBOOKSと何か出来ればと色々お話させていただきました。ここでも、中沢さんの物事に対する情熱的な姿勢が滲み出ます。話し方のトーンは決して高くありません。静かです。そして、前に進む意見や反論はあるけれど、いわゆるマイナーな否定はない。こちらの夢をどんどん釣り上げてくれるのです。もちろん理を通してです。「遊び心」ということでQBOOKSとのうれしい一致もありました。仕事の話もしまししたが、それ以上に中沢さんのふくよかなお人柄に触れることができて幸せでした。それは、公式サイト「豆畑の友」の日記・豆の葉であり、『楽隊のうさぎ』のうさぎのごとく、大らかな優しさと物静かではあるが前進力溢れる、中沢さんの情熱そのものではなかったか。久保田の冷酒を呑みつ、つくづくと感じ入ったPontormoでした。 中沢先生と当初お呼びしていたら、おやめになってと言われたので、中沢さん、お酒はテーブルに呑ましてはいけませぬ(笑)。またおつきあいください。ご馳走様でした。04/11/13/Pontormo
「現代詩」とは何だろう、と素朴な疑問。<現代>とは<今>のことなのだろうかと、これまた稚拙な疑問が涌いてくる。「現代詩」と「現代の詩」は違うのだろうか。たしかにニュアンスは異なる。現代詩の前は、近代詩というのだろう。では古代詩というのもあるのか……きっとある。 「第三期の詩人」と呼ばれる詩人たちがいるらしく、その代表選手は飯島耕一、大岡信、谷川俊太郎、入沢康夫らといった詩人のようだ。思潮社の『現代詩手帖』10月号で特集されていた。 谷川俊太郎は今日唯一売れる詩を書く詩人だと、どこかで読んだか聞いたことがある。本屋の店長さんをやっていたのをテレビで見たこともある。谷川の知名度は高く、QBOOKS詩人の中にもファンが多い。詩がスクリーンセーバーになっているくらいだ。それほどだから、詩はヒット小説のようにバカスカと売れるものではないようだ。谷川にしたって『マザーグース』だったのだから。そういえば、五木寛之が翻訳した『かもめのジョナサン』が大ヒットしたのを思い出される。 詩の翻訳といえば『月下の一群』の堀口大学だが、ボードレールやヴェルレ−ヌやコクトーばかりが目立って、堀口自身の『月光とピエロ』があるとはいうものの、結局は翻訳家としての堀口大学が勝っているように思える。サン・テグジュペリも堀口の手による。ついでながら、ここら辺りが近代詩だ。そして、ランボーの『地獄の季節』の翻訳者である小林秀雄も漏らすわけにはいかない。この人はかなりドラマチックに生きた人らしく、知人のプロ作家某氏が小説にしたいと言っていた。ぜひ書いてほしいものだ。 話があっちこっちで申し訳ない。「第三期の詩人」の谷川俊太郎が<今>の人であるから、QBOOKSの詩人たちや、インターネット上で活躍している多くの詩人たちも、同じく「第三期の詩人」といえるのだろうか――ということがこの雑文の一応のテーマなのである。多分、結論はございませんが。 ただし、『現代詩手帖』10月号では、インターネット詩人について言及されていないようにみえる。まるで対象外のようである。そうなのか!? 詩で儲けているのは谷川くらいなもので、つまり売れて何ぼのプロ詩人は<今>そんなにはいなくて、これは昔からそうで、詩集なども自費出版が当たり前で、詩そのものが純粋な文芸としてあったように思う。実は小説だってそうなのだ。文章を売るというのは職業開発の一つで、それは仕事にあぶれた労働者にとってはいいことでもある。売れるものは色々あったほうがいい。売らんがなで技術も向上する。が、もっと歴史を辿れば、芸術一般は職人としてのお大尽お抱えであった。芸術という呼称すらなかったはずだ。だいたい<小説>というものは、つい最近に生まれたものであって、詩の歴史にくらべれば幼稚園児みたいなものだ。お殿様に披露されるのは優れた詩の物語であって、小説というものではなかったのだ。<小説>形態自体が確立されていなかったのだし。 であるのに、詩はなぜこうもポエジーなどと言われたりして、現代生活において揶揄的な状況にあるのか。売れることを至上主義とするならば、言葉による創作文化などないということになる。いつも思うのだが、「ゴルフやってます」と言っても、ちっとも照れくさくない。「詩、書いてます」、「小説、書いてます」と言うと照れる。なぜだ。ゴルフだってプロはそうそう生まれない。小説書いてますと言うと、食えるのか? と訊かれる。ゴルフやっていると言うと、アイアンがねえ、などと返ってくる。それは何となく理解できることではある。ゴルフはちゃんと仕事をしている人のたしなみとして捉えられるからだ。趣味としての文化を認められているからなのだ。だからといって、詩をやる人がちゃんと仕事してないわけでもないのに。実に単細胞な話だ。補足しておくが、<趣味>はアマチュア独自ということではない。売る必要がないということだ。物づくりとしては理想のスタイルなのだ。眼力のない編集者やバイヤーにおちょくられることもない。内外の歴史においてどれだけの作家がダメ編集者によって憂き身をやつしたことか。持ち込めど持ち込めど出版されないという偉大になった作家が五万といたのだ。以前、出版社は新人を育てられないのだと聞いた。出版社にその金がないらしい。だから新人賞をやるのだという。宣伝効果もあるし一石二鳥というわけだ。それだから、昔でいうところの編集者魂といった編集者は育たないし、会社としてはその必要もないのだろう。目的は、ただ一点。売れるものを引っ張ってくることなのだから。ああ、またもや脱線。おまけに詩と小説がごっちゃになっている。 話を再度もどそう。我らは、現代詩手帖がいうところの、「第三期の詩人」か!? ということだ。たとえ、現代詩手帖が我らを混ぜようとしなくても、時代としてみればそうなるのだ。作品がお金にならないのは「第三期の詩人」の多くの詩人だって同様なのだ。本にさえなっていない詩人だっているだろう。それでもプロ詩人として多分「第三期の詩人」に列しているに違いない。飯島耕一、大岡信、谷川俊太郎、入沢康夫は、その彼らの単に<代表>なのだ。となれば、どこがどう違うのか。どこも違わないのである。「第三期の詩人」を評する彼らによって、インターネットという新奇の表現媒体が軽んじられているにすぎない。いつの時代でもそんなものなのだ。彼らが未来の詩を憂うなら、これからの詩を探るなら、もちろんそれは詩人の時代背景と詩そのもので「第三期の詩人」たちと区分けしているのだろうが、今やインターネットで詩を発表する詩人を度外視した詩論は虚しいのである。いつの時代でも取り澄ましたところからは人々の心を打つ詩は生れ出ないのである。 なれば「第四期の詩人たち」と我らを呼ぼう。売れる売れないといった一次元に概念を捕縛された姿勢は無意味と言おう。鈴木みすゞを見よ。もっとも、現代詩手帖が売らんがなと言っているわけでもないのだが。そして「第三期の詩人」たちよさようなら、と言おう。だがしかし、あなたの詩が人の心を打つものであるならば、なのだ。励め、QBOOKS詩人たち! 売れたら、呑もう! ……何じゃらほい? 04/10/28/Pontormo
写真左から▲現代詩手帖/「金子みすゞの世界」展図録 (朝日新聞社刊)/堀口大学/『かもめのジョナサン』リチャード・バック著、五木寛之翻訳(新潮文庫) |
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電信柱|毎週土曜日に更新!? 知らなかった。アナトー・シキソさんがこんなところに電信柱を立てていたとは。「ここはまた、別の場所。ぼくはここで、聞いている。そして、見ている。この音を失くした歌のある場所で。」……別の場所もあるのか。とにかく、一度のぞいてください。保証します。この人ならではの機知に富んだ言葉が溢れてます。『高い木に登って降りられない』このタイトルひとつで想像がつくでしょ!?
空中海岸|*佐藤yuupopicの詩と日々blog*。Pontormoが尊敬する女性アーティストのお一人。その行動力と進化力は驚異そのもの。QBOOKS詩人バトルでも、あらよあらよという間に、Wグランドチャンピオンになってしまった凄いお方です。それだけファンが多いわけです。最近では詩の朗読会にも積極的に参加し、新しい詩の形を模索しているようです。創作は詩だけではなく小説、作詞、ボーカルと活動範囲は柔軟。難点は、風邪引き屋さん(笑)。
sonzaiya|もうおひと方、同じく敬意を表したい女性詩人、檸檬さん。「出来ない」などといった言葉は、このお方の前では口が裂けても言ってはならない。全てが言い訳になってしまうからだ。何かをやるには、その何かに敢然と立ち向かえさえすればいいと、檸檬さんの行動姿勢に教えられる。何かを行なう環境や条件は、すでにあるものではなく、自分自身で想像し創造するものなのだと教えられる。そういったことが檸檬さんの創作姿勢にもあって、それは「知らない」という「謙虚な認識」の上に立って、とても勉強家でもある。そしてパンづくりの名人でもあるのだよ。
hasami|ロックンロール!のただ一言。パンクな詩人ヨケマキル。知らないネット詩人は、もはやモグリださ。文句があるなら、いつでもどうぞ。面と向かってローリングさせてあげますぜ。奴のフレーズは、一度でも耳にしたら一生つきまとって、まるで背後霊だ。死霊でさえステップ踏むさ。顔はまるで不良な天使なんだけどね。
白夜のカフェ|オーナーはインディーズ作品をより多くの方々に読んでいただこうと、積極的にその機会と場づくりに挑んでいる詩人である。その一つとして、Q'sBOOK朗読の会ではリーディングによる小説と詩の提供も行なっている。白夜のカフェでは詩人・空人としての優しさに満ちた詩や短篇小説が味わえる。またインディーズバンド「SLOWLIFE」では森田英一として活動。ニューマキシシングル「月とれもん」が試聴できる。
小説Blog。最後の時計職人|話題のblog日記サイト。タイトルが示すように、ほぼ毎日、超短編小説で更新されている。サイトデザイン自体はテキストのみで構成され、余分なものを切り捨ててシンプル。オーナー紹介はないが、日々掲載される小説はテンポよく、かなり鍛えている感がある。
赤井戸|オーナーは数々の商業文芸新人コンテストで予選を通過しつづけるインディーズ作家。その小説作品は保証付きだ。携帯でも読める一日一話の超短編を公開中で、長編のモニターを募集している。小説雑貨販売ユニット「言壷」では小説作品をお洒落なグッズにして販売もしている。
シコウ回路|号泣必至の冒険活劇!「感動的実録マルヒニッキ」が楽しめる。インディーズ作家の作品としては、読めそして泣け歌え!「面白くて為になる読み物」が手応えのある確かな掌編を提供している。ジェントルマンにして、そこはかとなく漂うニヒルさ。が、裏にはとんでもないアイロニカルを隠しているようで、油断のならないサイトだ。
textrock|言葉でロックする試み。――キャッチが示すように、毎日アップされる詩はローリング抜群の日記サイトだ。blogランクでは常時トップクラスを保っている。カレーに造詣が深く、詩作や仕事の合間にはオリジナルカレーに挑み、時々レシピが掲載されることもある。
光のトンネル|骨太な作家の繊細で味わい深い短編小説が楽しめる。お気に入りの作者の作品にバックグラウンドミュージックを編集して読ませるなど、創作とその作品に対する姿勢は、真摯で意欲的だ。日記や掲示板では家庭人としての人間味も覗かせる。バイク乗りでもあり、見方によっては魅力的な男くささを漂わせる、硬派な文芸サイトだ。

18歳の時に『海を感じる時』で講談社群像新人賞を受賞した中沢けいさんの公式サイト。学生諸君、負けじとグァンバレ! Pontormoお薦めは『楽隊のうさぎ』(新潮社)。近々、同じく新潮社から続編が出るそうですよ。HPが新装開店しました。
写真左から▲単行本(新潮社1,680円 税込)文庫(新潮文庫540円 税込) |
 
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