マニエリストQのストゥディオーロ其の十一斑の水マニエリストQ


 屋上から浮橋が延びていた。十メートルほど歩いた橋の先端で、錆びついた華奢な手摺にすがり、二十メートルほどの眼下を覗いた。広大な水が滔々と流れている。濃緑色と透けた水が斑になっている美しい水面。その全体がゆっくりと動いていた。流れる先を遥かに見晴らせば、旭日に白く霞む海があった。いつ居たのか、ふいに隣にいた男が手摺を飛び越え、足の先から一直線に、流れる水に向って落ちていく。男は一旦水中に没してから、その頭を水面に勢いよく突き出し、ゆっくりと流れていった。それを眼で追っていたら、水の流れに酔った。それから間もなく、遠く彼方の海に、気持ちよさそうに浮いている男がいた――早朝、頭痛をともなって私は目覚めたのだった。






tamo@alpha-net.ne.jp
掲載の記事・写真・作品・画像等の無断転載を禁止します。
著作権はマニエリストQおよび作品提供者またはその情報提供者に帰属します。
(C)マニエリストQ Copyright 2002 Manierist Q