ごんの株日記……その6

by ごんぱち



●二月某日『優.待.ブルース』

 アトラス株は、上下の微動を繰り返しつつも、終値でこちらの買値を割る事もなく、まずは安泰。株価の値動きを実況しても、本人以外には面白くもなんともないので、これ以上は触れない。

 取引完了の葉書を見つつ、ちょっと気になって、HPで株式手数料を再確認してみた。
 ……ああ、ネットの通常の株取引手数料は、500万円以下で980円均一だったか。これに消費税が付くにしても、相当に安い。
 ミニ株ばかり気にしていたせいで気付かなかった。
 ちなみにミニ株は、最低手数料1000円。100万円以下だと5パーセント。つまり、前回の取引の場合、100株分の価格が約50000円だから、おおよそ2500円が手数料になるわけだ。980円と2500円では、やはり差があり過ぎる。

 要するに、ミニ株は損だ。

 あえて有効な場合を想定するなら。
 ――確実に数倍に跳ね上がるというインサイダー情報があって、でも買付の為の資金が異様に少なくてミニ株分位しか買えないという場合。
 ――人に「借金のカタに○○社の株をやるよ」なんて約束しておいて、「ミニ株だって株は株じゃん!」と騙くらかす場合。
 ――片想い中の乙女が、ラブ占いで「ラッキー株式」と出た銘柄を持っておきたいけれど、それが経営破綻寸前の不良株である事が明かな場合。
 ……状況考える方が一苦労ですがな。
 資金が少ない場合でも、銘柄をよく探せば、単位株で買えるものは一杯あるし。銘柄を分散させると安全、なんて発想があるが、それはあくまで手数料を度外視した時の話。

 こういうのは、買ってみないと実感として分からない。やはりまずはやってみるもの。

 手数料の話からの延長になるが、株は動かせば動かす程手数料損がかさむ。
 かといって、売り買いしなければ、損も得も――。
 なんて事はない。
 配当金と、株主優待ってものがある。
 こちらの資本が少ない以上、配当金は当てにならないが、株主優待は何かあるかも知れない。
 この前も、ビデオレンタル屋で株主優待会員証があるのを知ったし。
 てなわけで、今度買う株は、株主優待をメインで考えてみた。

 当然、Yahoo!検索。キーワードは「株主優待」。
 出た出た。
 株主優待のデータ集、といったページが幾つかヒットした。
 企業のHP辺りが出て来るかと思ったが、それはほとんどなかった。企業のHPの存在意義が問われそうな気がする。社名を見れば想像できる程度の業務内容紹介なんか載せる暇があったら、こういう情報こそ載せるべきだと思うが。
 会社一軒一軒廻るのは愚の骨頂なので、データ集ページにアクセス。では、最初の一つ。
 カリカリカリカリカリカリカリカリ……。
 次。
 ああ、見えた見えた。
 株主優待に限ったデータベース。業種別や優待内容別で絞り込み可能。インターネットって、本当に便利だなぁ、しかし。
 件のビデオレンタル屋を探そうとしたが、本社名でなかったのか何なのか、見つからない。
 まあご縁がなかったと諦めて、ぼちぼち見ていく事に決定。

 おーおー、色々ある。
 大体、単位株1000株でちゃんと付く。一口持っていれば充分なものが多い。
 当然、業務内容に応じた特典が多く、内容は多種多様。宝くじだの、ビール券だの、お食事券だの――青汁だの。

 日ハム観戦券25枚って……株価は高いけど、そんなに配っていいの?
 表現が気になる「宿泊優待券」って、宿泊券ではなく? 割引券?
 うわー、銀行もある。優待口座? いらんわい、そんな特典。
 あ、舞茸で有名なホクトはやっぱりキノコくれるんだ。
 東宝は映画招待券か。そういうのは、結構割が良いけど、最初から行かない人間には関係なし。ビデオで観る方。
 手近なのは、鉄道会社かなぁ。ロハの乗車券は魅力。関連フィットネスクラブの割引とかはどうでも良いけど。
 しかし、特典が図書券ってとこ、結構あるなぁ。意外なとこで使われてるもんだ。麻雀のチップとか。
 「○○円相当の優待券」とかいうのは、割引券っぽいな。そういえば大学時代、「カラオケ屋の券一万円分」とかいわれて、喜んでいたら千円割引券十枚(当然、一回一グループ一枚限り有効。来店毎に一枚づつくれる普通のモノ)なんてのもあった。そんなのはいらない。

 ところで、現在株式所有中のアトラスには株主優待はないんかな?
 銘柄コードで調べてみたが、ない。お隣のコードのトミーはあったんだけど、まあ仕方ないか。五万円ぽっちで、大したリターンもなかろう。

 この株主優待のページでは、株式購入価格に対して、株主優待の割合がどの程度か(つまりどれだけ割が良いか)をパーセンテージ表示している。
 株価データは少々古いが、まあそれはそれとして、試みに割の良いものを検索。
 うわっ、2000パーセントってなんじゃ!
 ……株価が1円でした。
 そういうとこの株買っても、株主優待を使う前に倒産してしまうのではなかろうか――というより、既に倒産してる会社の株価だったっけ、1円って。
 もっとも、意外に使えるものもあるのかも知れない。経営破綻したマイカルグループなんか、近くにあるサティは普通に営業しているし(かなり優良な店舗だったらしい)。
 でも、危なっかしいからパス。
 色々見た結果、もの凄く魅力のある株主優待、というのはナシ。せいぜい「まあ、あったら嬉しいかな」って位。
 家計を預かる身なら、米5キロとか良いんだけどねぇ。
 考えてみりゃあ、必要なものは既に自力で手に入れているわけだから、何を見てもそれほど食指が動かないのは道理なのだが。

 そんな中、それなりに面白そうだったのが、松屋フーズ。優待券十枚が特典。
 当方ご飯マフィアなので、酒を呑んだ後に小腹が空いた場合、ラーメンを食べるような真似はせず、もっぱら牛丼屋に行ったりコンビニでおにぎりを買ったりするのだ。
 とはいえ、今一つ判断に迷いがある。で、ちょいとウツミ屋証券のページに飛んで、松屋の株価をチャートで確認。
 投資判断が買いになってる……。
 ショートコメントの内容も、かなり良い。上がり調子っぽい。長期のグラフを見ると、この二年ぐらいの間で倍になっている。
 この調子の良さが、かえって怪しい。
 そこで運試し。低めに値を指定しといて、注文だけ出しておこう。買えなかったら今回は「見」って事で。
 ――一週間後。
 買付失敗。
 やっぱ、低く付け過ぎたか。
 東南アジアの値切り合戦じゃないんだしね。
 しばらく待つ事に決定。

 と、腰を落ち着けようとしたごんぱちの元に、一通のメールが。
 まさか、あんな事になろうとは……。

 

――次回、風雲急を告げる新展開――か?
――その5 その7




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