ごんの株日記……その9
by ごんぱち
●五月某日『分割とU待と投資』
株式投資は囲碁に似ている。
――いや、のっけから何をほざくか、とか退かずに。辛うじて正気だから。
ここ数年の漫画に端を発する囲碁ブームで、囲碁のルールを噛じった方も多いと思う。で、私もその一人である。
囲碁ってぇのは、「よく分からん」「難しそう」のイメージがあるが、要は相手の石を囲って息を止めるってだけのルールである。
だがしかし、歴史が平安時代だの春秋時代だの言われるだけあって、定石やら禁じ手やらが山のようにあり、それを知らないと囲碁の石も持ってはいけないような印象がある。
玄人衆が、間口を狭く狭く絞り込んでいる感じ、とでも言えば良いだろうか。
で、半年以上株と接してみるに、株式投資もまあ似たような処がある。
基本は「株」という商品を買ったり売ったりするだけ。他の商品と違って、セコハンでも価値は下がらない。
口座開設に手間は少しかかるが、クレジットカードを作るのと同じ程度であろう。
だが、そこで利益を得るべく、法則性が分析され、データ分類法が用意されて、片っ端から専門用語の名前が付いている。ロウソク足なんて言われても、初めて見る人間にはさっぱり分からない。
そして、それを知らなければ、何だか株を買ってはいけないような気がしてしまう。
何、どうという事もない。
それで喰っていくつもりならともかく、ただちょいと買ってみようというのに、最初の段階だというのに、そんなに深く知っておく事もないのだ。
絶対勝たなければ、という強迫観念があるから、専門用語を全部知っていなければならないような気になる。
勝てない事もある、で良い。大体、プロの投資家だって、損をする時はある。
競馬をやって、一日で十万円パアにするよりは、ずっとゆっくり楽しめるゲームではなかろうか。
基本的にギャンブラー体質。
五月二〇日、ゲオから封筒が届いた。
素気ない窓付き茶封筒。
中には紙一枚。タイトルは「株式の分割(無償交付)による株式数増加ご通知」。
そう、株式分割の報告である。
これで、間違いなく持ち株が増えた事が確認出来た。
やれやれ。
しかし謎の項目も幾つかある。「株主名簿の増加株式数お呼び端株原簿の増加端株数」とか書かれても、何の事やら。
その日近辺の株の値動きが、何だか解せない。
優待目当てであれば、株が増えたら一つ売り払う――もんではないのかな。
なのに、上がってるんっすよ。今まで、越えないと言われていた五〇万円の壁もぶち破って。
ということは、優待狙いで買っているというよりも、売買益を狙っているホルダーの方が多いということか。
それとも分割の権利落ちの区切りであるところの三月二〇日時点で、分割に関わる売買は終わっていたのか?
ところで、分割された株式を、ウツミ屋証券のページで確認したところ、ゲオの名前がはっきりしている株と、名前のない株が一つづつ表示されていた。
?
どうなっているのだ?
二株で取り扱えないのか? それとも何かやらなきゃならないのか?
何が問題かって、売買時に、二株まとめて売ろうとした時である。別々では手数料が高くなってしまうではないか。
はてはて?
数日後、今度はゲオから白い封筒が届いた。
封筒には「株主様ご優待カードのご案内」。
おを、来た来た。
元はと言えば、これを目当てにしていたのだ。
中には株主優待カードと書類少々。
これを使えば、ゲオ全店でビデオ等のレンタル料が半額という優れモノ。ちなみに、何株持っていてもカードは一枚限り。
ふむふむ、書類に項目を記入して登録しないといけないけれど、元々会員だったら不要、か。有効期限は今年いっぱい、概ね半年というところか。
翌日早速ゲオのレンタル店へ行き、カード更新。
「あのー、カード替えたいんですけど」
すると、バイト店員は扱いかねたのか、社員っぽい店員が来て、手続きを行った。
「身分証明書ございますか?」
はて? 書類には必要とは書いていなかったのだが。
まあ別に減るものでもなく、文句を言う程の事でもないので、パスポートを提示し、無事更新完了。
そんなわけで『禁断〜』(※)とかいうDVDを一枚借りて帰った。百五十円(税別)なり。安い。
他の二銘柄は芳しくない。
松屋フーズは地味に盛り返しつつあるが、買値にはほど遠い。株主優待はあるのやらないのやら? 確かあるって話だったのだが、掲示板を見てもそれっぽい話題もない。
アトラスは一旦550円まで上がったものの、急落。500円下をウロウロしている。買った時が495円*100株+手数料980円だから、損はさほどないが。
<学びと気付き>
そういえば今回、自分自身では株を一ミリも動かしていないんだなぁ。
※『禁断の惑星』です。念のため
|