アサガワさんですね? 書いている途中の小説で、三島駅の描写が必要になった。7月なので、平塚の七夕祭りを見るのも悪くないなぁ、と思った。 じゃあ、ついでに、八王子の取材もしよう、と相成った。 ――海老名通り過ぎてますがな。<わかりやすい、位置関係> 八王子 海老名三島 平塚 日の出ているうちに行かないと「はち」捜しは難しいので、午前中に三島に行ってとんぼ返りし、平塚で昼食だけ取り、八王子に到着したのは14時半ぐらいだった。 さて、今度は、どの道を行こう? 前と違う道を進むのが良いよなー。 北口から出て、斜めに交差する道を歩く。 飲み屋もあるけど、車道に面した通りは、あまり落ち着いてブラブラ歩く道という感じではない。 しかし暑いな。 雨の予報で、朝も少し曇ってたから油断したが、これは日焼け止めとか塗っておくべき日当たりだぞ。空気もジメジメしてるし……。 やれやれ、ちょっと店でひと息。「亭主、その『家族ゲーム』(作:鈴城芹)をくれ」<古本屋でひと息をつくタイプの人間 つらつらと歩くうちに、川まで来てしまった。 橋がかかって――む! 橋の傍らの居酒屋の名前に「はち」が! ――「呂」でした。 むむ、別にこのまま「はちっぽいからOK!」でも良いし、その程度の方が長続きしそうな気もするが。 敢えて進もう。何かが見つかるかも知れない(注:もしも見つかってなかったら、この続きの文を書いてないだろう、というようなツッコミを想定しています)。 気を取り直し、橋を渡る。 名前は「浅川」とある。 あさがわ? せんがわ? あ、こっちには平仮名表記が。「あさ川」 ……あんた、そういう事やっといて「アサガワさんですね?」って聞いたら「アサ『カ』ワです!」って、「カ」にイントネーション付けて、メガネのレンズを逆光で光らせて半ギレするんでしょう? で、以降気まずいままで、「あの……アサ、カワさん?」とか恐る恐る聞くけど返事がなくて、改めて声をかけたら「聞こえてますよ、何か用ですか」てな返しするんだろう。 あたしなんかね、自分の名前読み間違えられても「ははは、割と珍しいでしょ。検索で出やすいんですよ」ぐらいのダンディズム溢れる返しをするというのに! 橋は、空襲で焼夷弾の当たった部分が一部保存されて、ガラスのような板で保護されていた。 無論、この手のものの常として、内側に水滴が溜まってよく見えなかったが。 しかし暑い。 傍らを車がガンガン通るせいで、気分的にも暑苦しい。 自動車もなぁ。業務用はあっても良いと思うけど、「運転免許は持ってて当たり前」な風潮はおかしいと思うんだよなぁ。まあ、そんな風潮の中で敢えて持たないというのは、非凡を売りとする物書きには打って付けと言えなくもないけれど。 つらつらと歩いて行くと、神社の前に八王子の祭りのポスターがあった。 あー、次回はこの辺に合わせて来てみるのも良いかも知れないなぁ、モノが多い方が「はち」も多そうだし。 あー、しかし「はち」ないなぁ、やっぱり「呂」でごまかすか――む、待てよ。 神社だな。 神社には――。 階段を昇る。 結構急だし、えらい高い。 水の近くにある神社とか祠の類は、水没しない高さにあるという話を聞いた気がするが、敢えて追究すまい。 そして上りきって境内の――。 あった! あったよ! 手水鉢だ! 鉢だから「はち」だ、やっほーい! これなら問題ない、このレベルで良いんだよ、うん、うん。 今回のノルマを果たし、意気揚々と帰途に就いたのであった。 ちなみに、翌日の新聞で八王子がこの夏初の真夏日を迎えたという記事を読んだ。 ……暑かった訳だ。