かの地は、薬、化学、器械、耕作、天文、所謂、人間の持つ文化の全てに於いて、当然、シャーマンの技術に於いても特出したレベルにある土地だった。また、非常な高地に在ることは、星の管理者としての必然でもあった。 褐色の地面には沢山の蛇がごく自然に彼等の間を行き来し、天空には禿鷹が飛び交って天地のあらゆる事物を整理していた。 ここでは、男も女も異常な高さの身長を有し、まさしく星に届くかのごとくである。誰もが大小の杖を持ち、無数の鳥の羽を身体中に飾り付けていた。そして、顔だちのイメージを別として、その造作である目、耳、唇、毛髪などは光り輝くように美しかった。 彼等はその化学力と薬で千年も二千年も生きた。高度な文化こそこから生まれた。容貌も変わる。彼等は、その美しさの要素に対し、爬虫類に似た顔を持っていた。地に這う蛇は存えた年寄りたちの姿である。 彼等は時折、下に降りて人の間を歩き、人間の所有する文化の源を伝えた。その見返りとして人間の女とまぐあった。そうやって人間の中に堕ちた。 「全てをあなたに」下に住む女がまぐあった姿で言う。 「女は何処に在ってもイヴでしかない」かの地の男が言う。 「そのイヴをあなたは唆したのではありませんか」女は嗜める。 「そのおかげで、私はここに在る」 「堕とされたのね」そう言って、女は小さな腰を軸に身体を大きくよじった。そして、かの地の多くの男たちの血が下に住む女たちの中に流れていった。 今では、ほとんどの人間が男も女も蛇のような顔になり、身長も異様に高くなっていた。都市の道路は、這う蛇で充満している。 しかし、逆行するかのごとく地は低下し、再びの大きな洪水を予見する第二のノアとも呼ばれる人間が、世界の各地に現われ始めていた。
かの地とはエデンの東に在って、エデンとは彼等の故郷であった。エデンの東こそ、エデンに次ぐ実在した最も進んだ源都市の呼び名である。 「天の地から降りてくる使い達」下に住む人間は彼等を、こう呼ぶ。 彼等こそ堕天使と呼ばれる最も始めに文化を所有した人間たちのことであり、別称を悪魔といった。
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