第22回平成の俳句バトル結果

おめでとうございます!
木犀や人と別れし夜の頭痛 兎六
夜逃げせし隣家の庭の熟柿かな
長きよを持て余しては無駄遣い
お気楽堂
沙汰
秋時雨赤い灯滲む中華街
前輪の空気入れ終え秋思かな
お気楽堂
越冬こあら
以上の句が特選とされました! おめでとうございます!

エントリ 作品 作者 得票 備考
01 木犀や人と別れし夜の頭痛 兎六 6
15 夜逃げせし隣家の庭の熟柿かな お気楽堂 5
23 長きよを持て余しては無駄遣い 沙汰 5
16 秋時雨赤い灯滲む中華街 お気楽堂 4
07 前輪の空気入れ終え秋思かな 越冬こあら 4
11 天高くユッケビビンバの感じなり 宮武赤胡 3
24 野分哉陸海空的大掃除 宮武赤胡 3
03 犬人と行く葱畑雨しとど 宮武赤胡 2
05 サルビアの枯れて積まるる中に赤 兎六 2
09 銀漢やイスカンダルは宇宙の果て お気楽堂 2
13 暴風に寄りかかっても倒れない? 駄々 2
19 ヨガに来てきしむわが身のうろこ雲 ようこさん 2
21 雨上がり虹が三本立つ奇蹟 駄々 2
02 タコ八がいかになりしかOctober 沙汰 1
06 あらがえど絡めとられてカナムグラ ようこさん 1
08 ふいと出たあかまんまかあ蓼と言ふ 彦星 1
12 拾う骨かしゃかしゃ騒ぐげにさいご 彦星 1
14 見えたかな 君の裏側 を複眼なら 沙汰 1
17 グランドを五周金木犀五度 兎六 1
18 天高し鞍馬教育委員会 越冬こあら 1
22 彼岸前ラクガンならばあんこ入り ようこさん 1
5*10=50


 感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。
「私の投票がない!」「内容が違うような」……掲載もれ、ミス等ございましたらご連絡いただけますようお願いいたします。

推薦作品と感想
感想: :01 木犀や人と別れし夜の頭痛
 たくさんしゃべりまくる人と一日つき合わされてしまった、あーあ(タメイキ)……と
いう感じと読みました。恋人や大切な人との別れだと、頭痛だけでは済まされません。

11 天高くユッケビビンバの感じなり
「って、どんな感じだよ!」とツッコミたくなると、作者の思うツボだ。

15 夜逃げせし隣家の庭の熟柿かな
 長年暮らした豪邸でしょうねえ。柿とかけて、「夜逃げの原因」ととく、ココロハ、とても「キになります」ハイ。

16 秋時雨赤い灯滲む中華街
 中華街の豪華な色彩が雨に滲んで哀愁ただよう。

22 彼岸前ラクガンならばあんこ入り
 餡子入りのラクガンがあるのかないのか知りませんが、何等かの説得力を感じてしまいました。
選者: 当バトル参加作者

感想: 01 木犀や人と別れし夜の頭痛
 なぜ頭が痛いのか。わかれたくなかったのかな。
 
11 天高くユッケビビンバの感じなり
 つながりないようなつながりが好き。

18 天高し鞍馬教育委員会
 ごろがいいよねぇ。

21 雨上がり虹が三本立つ奇蹟
 確かに奇跡。

24 野分哉陸海空的大掃除
 情景が目に浮かぶよう。この世の空気もきれいにしてくれればいいのに。
選者: 当バトル参加作者

感想: 03 犬人と行く葱畑雨しとど
 雨の日の畑の、しめっぽい感じが出ていると思います。
 葱にも水滴が溜まっていて、ちょっとした振動であちこちから雫の落ちそう。
09 銀漢やイスカンダルは宇宙の果て
 空気が澄んでいて、もう肌寒い季節。真夜中の家路をたどりながら、銀河鉄道の夜に思
いを馳せる。
 付き過ぎを恐れずに"銀漢や"としたおかげで、情景が見える句になっている
と思いました。
15 夜逃げせし隣家の庭の熟柿かな
 "隣の人が夜逃げした"なんて非日常的な事実も、だんだんと日常に溶け込ん
で行くのですね。
 採る人がいないから熟柿になるという、あまりに当たり前なことなのに、日常がいつま
でも続くものではないと気づかされる事象。
19 ヨガに来てきしむわが身のうろこ雲
 私なんかラジオ体操でもきしみます。ヨガならさぞやいろんなところがきしむことで
しょう。
 不思議と季語がぴったり。微妙な気持ちよさで通じ合うのかしら。
24 野分哉陸海空的大掃除
 全部漢字表記の勢いが魅力です。
 陸空海と大の字で、自衛隊のお祭(名前をしらない)を連想しました。
選者: 当バトル参加作者

感想: 07 前輪の空気入れ終え秋思かな
ふっと一息の時に秋を感じる。
11 天高くユッケビビンバの感じなり
それはそれは綺麗だったでしょう。
16 秋時雨赤い灯滲む中華街
雨を透かして秋を見る。
19 ヨガに来てきしむわが身のうろこ雲
私も少し運動しなくては、、。
23 長きよを持て余しては無駄遣い
長き夜?私も心当たりがあります。
選者: 当バトル参加作者

感想: 12は寂しさを紛らすような俳句だから。
13はどんな人と一緒でも自分の意志を貫くというような俳句だから。
16涙を時雨にたとえているような俳句だから。
21虹を三本も立つ奇蹟が逆に不気味だから。
23人や日を待つときは無駄遣いをするのは一緒だな〜と思ったから。
選者: 純粋読者

感想: 01 木犀や人と別れし夜の頭痛
  ああ、こういう時金木犀の匂いって鬱陶しいね。
05 サルビアの枯れて積まるる中に赤
  うーん、しんみり。ああ無情な秋を景色でとらえるとこんな感じかも。
07 前輪の空気入れ終え秋思かな
  ああ、なんとも秋っぽい。ひとしきり秋思にふけったら、後は自転車こいで吹っ飛ばそう!
08 ふいと出たあかまんまかあ蓼と言ふ
  あかまんまかぁって?とよくよく見たら回文だ!すごーい!
24 野分哉陸海空的大掃除
  的がいい。とても大掃除的。
  で、自然の大掃除は人間の為ではないので、次は人間の為の掃除が待っている。
(楽)
選者: 当バトル参加作者

感想: 心にとまった作品を以下の通り寸評。

01 木犀や人と別れし夜の頭痛
・一票投じた。金木犀ではなく木犀(銀木犀)にしたのには理由があるかと思ったが、残念ながら個人的な経験が木犀に対してはないので、そこまではわからなかった。
 けれども、夜の頭痛がもたらすアンニュイな感じと、別れ、それに木犀の組み合わせが面白かったので一票。

04 流刑の地今や敬い血の生ける
・回文。もっと中身があれば票を投じたのだが、今一歩。

05 サルビアの枯れて積まるる中に赤
・描写的な句は難しい。色彩に訴えようとした姿勢は面白いのだけれども、この絵、そのものに力が足りないのかもしれない。

07 前輪の空気入れ終え秋思かな
・一票を投じた。自転車に空気を入れなければ自転車は動かない。空気を入れるという行為は面倒だけれども、必要な<休息>であるとも言える。それはこれからやってくる<冬>を駈け抜けるために必要な<休息>、つまり<秋>のありように近いのではないか。
 なんて結構強引に深読みできたので、せっかくなので一票。

13 暴風に寄りかかっても倒れない?
・一票を投じた。こういう楽しい句は好きなので。

15 夜逃げせし隣家の庭の熟柿かな
・一票を投じた。可能なら五票いれたいと思った。
 <夜逃げした隣家>=<変わる人間>、それと、<熟柿>=<去年と変わらず実る自然>、この対比が見事。
 よく使われるモチーフかもしれないが、秋らしい空気が出ていると思った。夜逃げするなら秋に限る。お見事。

17 グランドを五周金木犀五度
・単純ながら、わかりやすかったので一票を投じた。語感が悪いのはわざとなのかもしれないが、個人的にはもう少し考えて欲しい気もした。

24 野分哉陸海空的大掃除
・野分の暴力的なまでの力が、文字の連打というところで表現されている。面白い試みなのだけど、やはりルビが不要。ルビが要らない言葉を洗濯すべきかと思った。あるいは全部ルビにするか。
選者: その他のQBOOKS作者

感想: 01 木犀や人と別れし夜の頭痛
 なんかしらんが せつない♪ホ〜ミタイッおおさぁかベエイブル〜スと思わず歌っちゃったので投票します

02 タコ八がいかになりしかOctober
 ん〜〜〜〜1・2・3ってとるの嫌なんだけどでもなんだかこれ毎年10月になるたび口ずさんでしまいそう・・あたしだけ?

03 犬人と行く葱畑雨しとど
 うわっ雨の葱畑犬と行く?のかなあゲテゲテになって嫌だなあ
雨の散歩後始末が大変なんですよね気の毒だから投票します


15 夜逃げせし隣家の庭の熟柿かな
 夜逃げなんですね・・・しかし熟柿はおいしいですよね
住んでてくれれば、いただけるのにね、夜逃げとわかってちゃ柿を取りに庭に入るのも気が引けますよねえ、おしい熟柿ですね。

23 長きよを持て余しては無駄遣い
 この「よ」は「世」でも「夜」でもいいんでしょうね
私は毎日8時半には寝ますから「夜」はもてあましません、けどこの句は個人的にかなり好きです。
選者: 当バトル参加作者

感想: 01 木犀や人と別れし夜の頭痛
 まだ切れてない関係であろう。この、あわいが巧い。
05 サルビアの枯れて積まるる中に赤
 死生のあわいの赤。
07 前輪の空気入れ終え秋思かな
 夏場は汗だくになるし、冬は指がかじかむし。これもあわいであります。
09 銀漢やイスカンダルは宇宙の果て
 銀漢→イスカンダルという意識の流れが自然。
23 長きよを持て余しては無駄遣い
 無駄遣い、とひねったところでどうもならんけど、きれいにまとまっています。(宮)
選者: 当バトル参加作者

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