感想: |
:03 六の花咲きわたりたり枯頭
妙だ。数字の"6"を模った花が淋しい頭を覆っているとでも言うのだろうか。それともこれは人頭ではないアタマなのだろうか。枯れた頭は永遠に謎だが、心透く句には違いない。
05 ベランダにクマちゃん下がる助けてやれ
危険だ。ベランダに近付いて手を差し伸べた瞬間、その手を取られて道連れにされるに違いない。騙されてはいけない。救出してはいけない。
09 蟋蟀の子守唄にて眠る夜
ストレートだ。なんの捻りもないが、この素直さが共感を呼ぶ。正に眠りつくようにスーッと気持ち良い。
13 ゑのこ草枯れて小さくなりにけり
ゑのこ草の姿に全ての「枯れて小さく」なるものが映し出されたようだ。
14 冬の朝ため息の形を知った
早朝から二人揃って外出。暮らしは妻に溜息をつかせ、夫はその形を盗み見る。地道な生活は日々の発見により彩られる。 |