第3回平成の俳句バトル結果

おめでとうございます!
 ブランコやとどかぬ青をつかみたい         嬉狐
 キャベツ下隠れてでんと春が居り
 薫風に鼻ひくつかせ眠る犬
 地のゆれてふくらすずめの湧き立てり        
瓜生遼子瓜生遼子
宮武赤胡
 [人]は得票数を人数が上回ったため、該当作品なしとさせていただきます。
以上の四作品が特選とされました! おめでとうございます!

エントリ 作品 作者 得票
24 ブランコやとどかぬ青をつかみたい 嬉狐 6
08 キャベツ下隠れてでんと春が居り 瓜生遼子 4
10 薫風に鼻ひくつかせ眠る犬   瓜生遼子 4
11 地のゆれてふくらすずめの湧き立てり 宮武赤胡 4
01 生きたさも半分なりや春の雲 榎生東 3
05 朧夜の老いにつけいる盗人女 榎生東 3
06 チョコを見て顔しかめつる我ひとり 若桜満 3
09 結び目を緩める如くもの芽萌ゆ 越冬こあら 3
22 彼自慢それ聞き募る我が不満 若桜満 3
23 雪はてつ塀の上にはねこだるま 宮武赤胡 3
07 ああああとああああと春街からす 宮武赤胡 2
13 昨晩とうって変わりし霜畑 小澤陽月 2
16 死にたさも半分ありや春日向 榎生東 2
18 秋時雨あと五分だけ君を待つ 嬉狐 2
19 鶯の鳴き止むを待ち繰る頁 越冬こあら 2
14 パプリカのいとこかはとこてんと虫 嬉狐 1
15 一閃の光に願い冬銀河  暇唯人 1
17 先までの温もり消しし隙間風 小澤陽月 1
21 立春のマネキンは皆口を開け 越冬こあら 1

 

 感想票をお送りいただいた皆様、ありがとうございました。
「私の投票がない!」「内容が違うような」……掲載もれ、ミス等ございましたらご連絡いただけますようお願いいたします。
 作品を御投稿いただいても、投票していただけない方が幾方かいらっしゃいます。とりわけ俳句というジャンルは風情を面白がる文藝です。投句のしっぱなしは周りの方への思いやりに欠けることですので、以降お気をつけください。(宮武)



推薦作品と感想

感想: 01 うつ病もちの私なので、春は死にたさの感傷に苛まれる。しかし、それで もなお春の雲に希望をほだされるという意味では共感できる。
05 朧夜と老いのニュアンスが連結しており、その幻想感と盗人女の鋭利な恐怖が興味深 い。
08 キャベツに春を感じるのではなく、キャベツの下のでんとした――なんだろうか。春 の息を吐く畑の土なのだろうか。
15 流れ星だが、一閃というほどの強い光かというと若干疑問は残る。だが、「願い」の 一閃であればと思うとこれはこれで面白い。
19 今回の第一等。春ののどかさであり、頁を来るおのれの満足もあらわしていて、ひ じょうに有意義な句である。
票者: このバトルへの参加作者

感想: 10 いかにも平和な様子がいいです。
13 寒いけど爽やかな朝が心地よい。
24 可愛い人ですね。
22 同様に可愛い人だ。
11 泥棒なんてトラックで来たって大したことない。地の揺れは地震でしょうか、津波 にも気が取られます。
   大自然の前には人間なんて木っ端微塵ですね。
   まるまると太った雀の子の騒ぎ出した驚きがよく解ります。

 季語のない句を選んだ者として無季認容論について私見を述べておきます。確かに「は なひ草」より今日まで新題は充実し増加しています。が、現代人の生活はそれと逆に、野 菜、果物、草花など殆どを通年の産物として食し愛でています。新年のホテルで毛皮を脱 いだ女性がノースリーブで、はっとした経験があります。
 素敵に見えたし違和感など微塵もありませんでした。
 住とて機能重視となり、雪の新潟といえども街は四角いコンクリートのビル群であり、 白川郷の合掌造も木曽路の町並みも観光施設で、季題としての意味は勿論、季節の感情は 失われるばかりです。
 日本の風土や年中行事に興味は大いにあります。しかし、その意味するところを教えら れても「なるほど」と、知識を得ただけで終わりです。
 歳時記にしてからが、季題選出の基準と、その例句の選出に各派の圧力が掛かり、編纂 者自身「疑問のあることは否めない」と言っています。
 それも俳諧の人間のやることだ、余り拘らずそれはそれでいいのかとも思いますが、古 い誤りがそのまま無批判に受け継がれていたり、解説に適しない例句など、人に強制できないものになってきているのも事実です。
 飯田蛇忽は歳時記を俳人として思うままに作ってみたいと、特殊な原稿用紙まで拵えた と聞きます。

「雀海中に入り蛤と為る」の句があります。雀が孵化する数はおびただしいものなのに、 山にも里にも余り多くならないのは、きっと海にでも入って蛤になるのだろうと詠ったも のです。
 元来、この季題は二十四節気の寒露の二候にあたり、晩秋のものです。しかし、歳時記 は蛤を季題として、立春から立夏の前日までの部に載せていたりします。
 無味乾燥な辞典ではなく、詩の味わいを持たせた歳時記は、人にそれを感じる根深い季節の感情があってこそのものです。
 都会か、海か山奥か、見渡す限りの牧草に囲まれて暮らしているのか、環境により季語 に対する人の詩的感受性に当然違いは出るでしょう。

 で、あるからして、無季認容の問題は「完全否定するのも大人げないなあ」程度の大らかなルールで、まあ、楽しく心の赴くままに実作したいと言う事で、如何でしょうか。
票者: このバトルへの参加作者

感想:  読んでみていいなと思ったものを選びました。 細かく見ると

11番 最初に実感が。田舎町出身なので、すずめの大群に毎年驚きます。特に、春や初夏 のあたりの、真ん丸いすずめって可愛い……。この句の感じが同じように可愛かった。
14番 「いとこかはとこ」の意味がわからなかったりしたのだけれど。リズム感と、てん と虫とパプリカがぱっと想像できたから。
05番 設定状況が違うのですが、芥川龍之介の羅生門を思い出しました。なんでだろう……と、それはともかく、選んだ理由はほかの作品と違うカラーがあったからかなぁ。
23番 ねこだるまの表現が可愛かったから。
13番 実感できます……(笑)
票者: このバトルへの参加作者

感想:  俳句など作らない私が感想してもいいんだろうか、と思いつつ。 読むのだけは好きなんです。まあ、聞き流してください。

08:隠れてでんと、が効いている。春の力強さがふてぶてしい生命感にあふれて表現さ れている。いいですねえ。
11:沸き立てりがにぎやかしくていいですね、脈動感の感じられる句です。
16:枯れた心境でいいですね、案外若い人が作ってたりして。思わず共感してしまいま した。
23:かあいいっ。猫だるまに負けました。雪はてつの状況がちょっとわかりづらいで す。雪は消え去ってということでしょうか。 後ひとつが決まらない。見たことあるよなあというものには、いくらきれいに着地してい てもなんだか投票する気が起こらない。私的には俳句って状況を切り取ってドキッとする ような独創的表現で見せてくれるところに妙味を感じるので…。
19:悩んだ末これに投票。あまりにもきれい過ぎてなんだか作為を感じてしまう。それ だけ巧い句なのかも知れないけど。
票者: その他のQBOOKS作者

感想: 01;最近睡眠時間が十時間の私からすると生きたさも→起きたさもにしたくなるがそれでは当たり前すぎ。寝てるってことは死んでるようなモンだよ な、と曲解するとよく分かる句なので一票
07;ああああ、というカラスの鳴き声に惹かれたのと、春の間延びした感じとそ の鳴き声がいい感じにマッチしてて一票
09;結びを緩めるごとく、というのが芽吹く様子にぴったりで私的に一押しの 句。ただ季語として使っている「もの芽」が本来では「ものの芽」ではないのか なーと思ったり。略しているのか私の知らない季語なのかは分からないけど、たと え略しているとしても、これはいい句だと思う。
21;これはまず笑いました。間が抜けた感じが面白くて。でもそれが春にぴっ たりだったのと、マネキンを使ったところが秀逸。春のほんわかした感じとマネキ ンの無機質な感じが対比してていい。
22;自慢、と不満、と韻が見事。似たような経験は誰にでもありそうなので思わ ず頷いてしまう一句。
票者: このバトルへの参加作者

感想: 01.生きたさも半分なりや春の雲
 何故「生きたい」のか何が「半分」なのか、わかりません。すみません。でも重みのあ りそうな詩ですね。
02.落蝉の 落ちつる声に 夏終わり
 試験のことかな? でも蝉は夏っぽくて季節的に。ちょっと落ちるが重なり過ぎ。でも 語感がなんとなく好き。
03.風花に 陽光差して 銀世界
 風花ってスギ花粉?  なんとなくきれいで好きです。
04.寒きかな コタツの中に 猫居りて
 光景が目に浮かぶ。極めてベターですね。
05.朧夜の老いにつけいる盗人女
 好きです。朧夜に老いが。最後の盗人女ってのもさみしくて。
06.チョコを見て 顔しかめつる 我ひとり
 ベターです。でも好きです。
07.ああああとああああと春街からす
 「あ」が多すぎます。ちなみに、私は芭蕉の「松島」の句がキライです。
08.キャベツ下 隠れてでんと 春が居り
 キャベツをいやらしい意味でとると、なかなか素敵です。
09.結び目を緩める如くもの芽萌ゆ
 「結び目」とはネクタイかしら。言葉の選び方が素敵です
10.薫風に 鼻ひくつかせ 眠る犬
 私は犬の出てくる詩がとっても好き。だからこれもキライじゃない。
11.地のゆれてふくらすずめの湧き立てり
 ふくらすずめって帯の締め方でしたっけ?
12.猫も寒く 炬燵(こたつ)布団に くるまりて
 ベターです。ベタ過ぎます。
13.昨晩と うって変わりし 霜畑
 かわりますよね。冬の晩と朝。霜柱をつぶすことが大すきでした。今でも早起きできた らチャレンジしたいなあ。
14.パプリカの いとこかはとこ てんと虫
 パプリカのいとこ? それってピーマン? 違う? てんと虫なの?
15.一閃の 光に願い 冬銀河
 言葉はいいけど、中身のない感じに思える
16.死にたさも半分ありや春日向
 ああ、とっても好きです。一番好き。眠い時は(このまま起きなくてもいいやね)と、 よく思います。
17.先までの 温もり消しし 隙間風
 「消しし」が好きではないです。
18.秋時雨 あと五分だけ 君を待つ
 素敵! 青春?
19.鶯の鳴き止むを待ち繰る頁
 鶯の声っていいですよね。これも情景が浮かぶ。
20.ふと映る あらわな君の 横寝顔
 季語がないかな?
21.立春のマネキンは皆口を開け
 そうだっけ? 鬼のマネキン? それとも…。。
22.彼自慢 それ聞き募る 我が不満
 気持ち、わかります。
23.雪はてつ塀の上にはねこだるま
 雪はてつ=鉄? なら雪合戦の光景かなあ? ねこだるま??
24.ブランコや とどかぬ青を つかみたい
 ベターで好きです。
(スタッフ注:05、08、09、16、24選)
票者: その他のQBOOKS作者

感想: 読んで情景が目に浮かぶような句を選んでみました。どれもいい作品です。
(スタッフ注:06、10、01、17、24選)
票者: このバトルへの参加作者

感想: 10.薫風に鼻ひくつかせ眠る犬
 気持ち良さそうな寝顔が浮かんできました。
11.地のゆれてふくらすずめの湧き立てり
 揺れているのは陽炎の所為でしょうか。軽快さを感じました。
18.秋時雨 あと五分だけ 君を待つ
 男子学生でしょうか。生真面目さに一票。
23.雪はてつ塀の上にはねこだるま
 ねこだるま。発見です。
24.ブランコや とどかぬ青を つかみたい
 躍動感です。
票者: このバトルへの参加作者

感想:  :9番、24番が好きです。
 想像心が清清しく掻き立てられますね。
 ブランコ、もう何年前に乗ったのが最後か忘れましたけど、 確かに空に届きそうだった視界を思い出しました。 (スタッフ注::06、08、09、18、24選)
票者: その他のQBOOKS作者