株日記外伝
『知識ゼロからの確定申告』……その20
by ごんぱち
○三月某日『二年目の申告』
三月になって、流石に放っておけなくなったので、確定申告と相成った。
でもめんどいなぁ、書類を作る事自体は大丈夫なんだが、印刷に親のカラープリンタを使わなきゃならんのが……。
と、思いつつ、お馴染みの国税庁ホームページへアクセス。
確定申告等作成ページへ飛んで――。
> このコーナーで作成した申告書は、そのまま税務署に提出することができます(平成17年分では、モノクロプリンタでも確定申告書等を出力できるようになりました。)。
……え?
モノクロでいいの?
わーい、やったーー、これで印刷が簡単だぁ。
助かった。
そうとなれば、話は割かし簡単なんだよなぁ。
去年の申告書控えと、各種領収書に帳簿のエクセルファイルを用意して、加えて源泉徴収票と、証券会社の年間取引報告書を――いや、やっぱり面倒は面倒だな。
大体、用意する書類が多すぎる。
それ用の引き出しなり箱なり用意しとかんと、絶対なくすよなぁ。
でも、一年に一回しか使わないものの為に、引き出し一つ占有させる訳にもいかないし。
勝手知ったる何とやら、
「確定申告書等作成コーナー」>「所得税の確定申告書」>「申告書自動選択」
過去の年分の作成コーナーというのもあり、なかなか親切と言えなくもないが、そもそも、確定申告という制度自体があんまり親切ではない。まあ、かといって、戸別訪問で徴収なんぞしていた日には、人件費が税金で二倍ぐらいに跳ね上がるだろうしなぁ。
さて必要事項を記入、記入。
収入は、バイトの給料と原稿料と株式収入。
そう、株式収入。
こいつが一番厄介というか何というか。
ゲオのキャピタルゲイン分、今まで取り扱いがイマイチ分からなかったからなぁ。大体、年間の取引が細々しているから、取得単価が分からん。
で、年始めの口座残高から、元本であるところの百万円を引いた数をざっくりと出す、という事をしたのだが。
所得金額2,667,441分の税金ってのはやはり、でかいのでないかなぁ。
支出のうちでも、社会保険料はバイトの給料の年末調整で片付けてあるので――。
まずは必要経費。
取材費諸々として、旅行代金。それからパソコン代。原稿料が発生した仕事の打ち合わせの交通費。普通の電車だったから、別に領収書はないけれど、帳簿には付けてあるし大丈夫……かな。まあいいやな、ダメだったらそこはそれだ。色々ひっくるめると、192,785円。結構な金額だが、原稿料収入が八十四万円あったので、もう少し何かでっち上げる余地はあったなぁ。次の仕事に使えそうな、例えばプリンタの一台も買っておけば良かったかしらん。
医療費控除はどうだろう? 領収書類がイマイチ確認し難いのだが、自費負担十万円ってのは、よくよくの事なので、大病も患っていない身を省みれば、非該当に違いない。仮に超えてたとしても、どうせ小銭程度にしかならんだろうし。
医療費に限らないが、控除というのは意外と線がない。
いや、突然何を言い出したのかというと、これは親が確定申告用に(親は親で確定申告をしている)医療費の領収書を集めていた最中に「もう少しで十万円超えるのに」と、言っていた事に由来する。
親の脳内イメージとして「控除がある」「ない」の境目というのが存在して、例えば九万円だと控除の対象外だが、十万円に達した途端に「十万円の控除金額」というのが突如現れる――と、考えている訳だ。
が、勿論、これは間違い。
公平を金科玉条とする日本の役所で、そんな風な格差は出さない。
医療費控除の場合、控除額の試算式は、以下の通り。
> (実際に支払った医療費の合計額−イの金額)−ロの金額
>
> イ 保険金などで補てんされる金額
> (例)生命保険契約などで支給される入院費給付金、健康保険などで支給される療養費・家族療養費・出産育児一時金など
>
> ロ 10万円
> (注)その年の所得金額の合計額が200万円未満の人はその5%の金額
尚、これは国税庁ホームページからの丸引用である。
申告の最中にも、ヘルプのように細々と出せるのが嬉しい。
実際、このページはよく出来てると思う。
ハウツー本なんか買ってる場合じゃありませんぜ、旦那。
この式を見て「難しくてわっかんなーい」とか臆面なく言える人は、サヨウナラ。あなたは当面の間、搾取される側です。世紀末救世主伝の世界を待ちましょう。
イマイチ、ピンと来ない方。
よーするに、自費負担(医者の窓口で払う金)の合計の十万円を「超えた金額」のみが、控除の対象になるって事。十一万円なら一万円しか対象にならない。
ここで言う「医療費」ってのは、保険が肩代わりする前の額。そこから、保険が肩代わりした額であるところの「イ」を引いた額ってのは、世に言う「自費負担額」。そしてそこから十万円を引く。
「ん? ロのところには、二百万円未満が何たらって書いてあるけど? それじゃあ、二百万円より収入が少ないとバラ色の申告額に?」
違います。
ちょっと考えりゃ分かるが、二百万円の五パーセントは十万円。そして百九十九万円の五パーセントは九万九千五百円。
しかも、実際に金が戻ってくるのは、このうちのまあ基本一割だから、五百円超えてても五十円だけ。一円を笑う者とは言うが、僅かな金額であるという事実は拭いがたい。
んな訳で、医療費をいくらか支払った覚えはあるが、十万円は超えていないので、無視。
それから、と。
変動所得・臨時所得の平均課税というのが、該当する筈だ。
これはどういうものかと言うと、毎年の収入があまりにも安定しない人向けの救済措置である。
例えば、二年に一回二百万円の収入があるAさんと、毎年百万円の収入があるBさんを比べた場合。
三十八万円の基礎控除だけしか考えなくても、課税対象額はAさんは百六十二万円、Bさんは百二十四万円となり、Aさんが著しく不利になる。
こういう格差を埋めるもの――らしい。
そして、その変動所得とは、
> Q 変動所得とは [平成17年4月1日現在法令等]
>
> A 事業所得や雑所得のうち、漁獲やのりの採取による所得、はまちやまだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝、真珠、真珠貝の養殖による所得、印税や原稿料、作曲料などによる所得をいいます。
> 漁獲による所得とは、普通にいう漁業の所得よりもその範囲が少しせまく、魚類や貝類などの水産動物を捕獲してそのまま販売したり、簡単な加工をして販売する場合の所得です。したがって、水産動物でないもの、例えば、こんぶ、わかめなどの水産植物の採取による所得や、水産動物であっても例えば、えび、こい、ますなどの養殖による所得は含まれません。
――真珠、のり、原稿料、作曲料。臨時所得の方は、野球選手の年俸とか、採石権を使った収入とか――つまり、山師的イメージが実に強いね。まあそうだねそりゃそうだね。
> Q 変動所得、臨時所得の平均課税を選択できる方 [平成17年4月1日現在法令等]
>
> A 変動所得・臨時所得の平均課税は、次の条件に当てはまる場合に受けられます。
>
> (1) 前々年、前年に変動所得がなかった方や、前々年、前年に変動所得があってもその合計額の2分の1の金額が本年の変動所得の金額に満たない方については本年の変動所得の金額と本年の臨時所得の金額との合計額が本年の総所得金額の20%以上であること
>
> (2) 前々年、前年に変動所得があって、その合計額の2分の1の金額が本年の変動所得の金額以上の方については本年の臨時所得の金額が本年の総所得金額の20%以上であること
だから、つまり、自分は(1)に該当しそう、で、あるの、だ、が。
本年の総所得の20%以上?
本年の総所得は……株式収入が入るから、四〇〇万近い。
その二〇パーセントはつまり、八〇万で、必要経費とかで差っ引かれていたりするから。
納税額変わらん。
ちっ。
と、これで入力完了。
出来上がった申告書データがこちら。
ダウンロードしてから、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」>「所得税の確定申告書作成」>「確定申告書データ読込」で読み込ませれば見られる。
収入が呆れる程少ない? やかましい。
さあ、これで決定、税金はどうなるかなー、と、「次へ」をクリック。
「納税する金額は、107,200円です。」
……高っ!
うーむ、高いねぇ。
株が効いてるなぁ。
まあ、いいけどさ。
ちなみに、必要経費を全く入れないとどうなるか?
雑所得の必要経費をゼロにしてみると――。
「納税する金額は、122,600円です。」
うん、まあ、これぐらいなんだなぁ。
原稿料が全額経費と相殺出来た場合は?
「納税する金額は、55,400円です。」
魅力のある差ではあるが、これの為に居酒屋などに行く度に領収書を貰う、みたいな脱税行為をするのもどうかと思うしねぇ。
……ちなみに、株の収入がなかった場合。
「還付される金額は、31,607円です」
でかいねぇ。株が効きまくってるねぇ。
まあ、儲けがあったって事だから、悪い事じゃあないのだが。
申告書類も出来上がったので、その日のうちに市役所の申告会場へ。
どうせなら、一度大和税務署に行ってみたいところだが、ただでさえ面倒だしなぁ。
去年同様、特に混んでいないところに、窓口の人は一人だけ。
「申告したいんですが」
「書類は出来てるんですね」
と、ざっくり確認してから、受け取って貰った。
面白おかしいハプニングとか、トラブルとかは別にない。
そして今は、納税額の払込書がいつ届くのか、戦々恐々としている。
一〇万はでかいなぁ。
来年は、還付金をたっぷり受け取れるような方向で行きたいものだが。
そもそも原稿料なり、印税なりが入る当てがあるのかどうかが、全く不明であるのが嘆かわしい。
うーむ。
<株の話>
ゲオ(2681)は、分割に伴い少し値を上げた。
分割して2株所有の、現在234000円。取得単価が217000円に相当するから、悪くはない。
が、チムニー(3362)が伸び悩みを見せ、2900円台をウロウロしている。成長株なので慌ててはいないが、10万円以上の含み損は気分の良いものでもないなぁ。安いと思えば買えば良い、という正論もあるが、リスク回避用に、口座残高の半分程度は現金で残す戦略なので、敢えて買い増しはしない。別のものを買いたければ損切り。
しっかし、日経平均が1700円台に達したというのに、自分の選ぶ銘柄はどうしてこう、時流に逆らうのか。
まあ、そこが面白いとも言えるが。
もう一つ。
松井証券の口座に持っている投資信託、ゴールドマン・サックス・米ドル・MMFについては、大きく上がる訳ではないが、マイナスになっていないので上等。種銭400,000円が、現在412,965円相当。まあ、円相場次第では、暴落の恐れもないとは言えないが。
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