株日記外伝
『知識ゼロからの確定申告』
……その13

by ごんぱち



○八月某日『くらべてごらん、党のマニを』

 選挙がどうのと言っていたら、郵政民営化法案の参議院否決で衆議院解散総選挙になってしまった。
 予言者のよーだ。

 これが直接的にどれぐらい関係するのかな、と、思っていたら、バイト先に来た。
 障害者自立支援法案が衆議院解散に伴い、廃案になった、と。
 支援費制度が介護保険みたいになるなる言われて、覚悟をしていたのだが。
 ご存知ない方のために言っておくと、障害者が介護施設やサービスを使う時に肩代わりするのが支援費。高齢者は介護保険。
 で、介護保険は「応益負担」。使った分の一割が利用者負担(但し、保険対象外の部分あり。食費とかは十月から保険対象外)となる。
 支援費の方は「応能負担」。利用者と扶養義務者の収入(納税額)に応じて自己負担額上限が決まる。
 分かり易く言うと、支援費制度の自己負担の方が、圧倒的に安い訳。
 それを介護保険と一元化しようとかいう流れだったと思う。
 で、これが廃案になった。無論、選挙後に、ちゃっちゃと新案が出るんだろう。変わる事と言えば、具体的な内容が出てから実施されるまでの時間が短くなるだけ。
 シワ寄せは福祉事業所の事務って事。

 この流れは要するに、福祉に割く金をどんどん減らそうって事なんだなぁ。
 国家としては、非生産層はまとめてガス室にでも送りたいんだろう。
 だが、その了見だと、国家への信頼とか、忠誠心とかは、全く育たないんだけどねぇ。
 なんかあった時に助けてくれない相手の為に何かをするのは、ただのお人好しである。損得絡まず献身が存在する関係は、友人と血縁であろうが、国家と国民の間にそれはなかろうて。社会契約論(合ってるかどうかは知らん)。
 まあ、国家への忠誠とかを求められないなら、足りないぐらいで丁度良いけどね。


 と、相変わらず税金と関係あるんだかないんだかのぼやき枕を言ったところで、と。

 税金からみた今回の選挙はどうなるんだろう?
 どの政党が、どんな公約を掲げているか、見てみたい。
 で、ちょいと調べてみると、ヤフーで「政権公約」という括りのカテゴリが出て来た。
 インターネット、便利。
 ひと昔前なら、図書館行って過去の新聞見て――とかだよ?
 出始めの頃は、一つ一つの情報は、大したものではなかった筈なのに、流通する量が多いせいでどんどん淘汰、洗練されていき、今や重要なものになっている。
 情報の流通というヤツは、自己増殖的な拡大ネットワークを形成し、瞬く間に共有されるというのは、自分の卒論の結論(あの時は、違法コピーされたパソコンソフト)ではあったが、正しくこれだなぁ。


政権公約


自由民主党
・公務員の人件費を削減するらしい
・あらゆる世代から公平に税負担をさせるため、消費税を含めた税制の抜本的見直しをするらしい

 うちのバイト先の社会福祉法人は、かつて「公務員並」を標榜していたが、不況で公務員給与が相対的に高くなったらとり下げた過去がある。当然、下げるとなればまた「公務員並」が始まるに違いない。
 露骨な減給はされまいが、今の勤続年数が再びリセット(一度配置換えでやられた事がある)されたら、時給ベースで二〇円の減だから、年間一〇〇〇時間として、二〇〇〇〇円の減。

 抜本的見直し、という表現は別に増税を表さないが、減税の時は明言するだろうから、これは増税に決まっている。額は不明だが、一応十パーセントをニュートラルとしておこう。

 合計すると、いーかげん計算で年間二〇〇〇〇円の損。

 後、自衛官に敬意と感謝を持つ事が強要されるらしく、職業に貴賎が出来てしまい、一介の文筆家の地位は相対的に低下するであろうから、精神的損害が二千万円だが、まあこれは一応除外。



公明党
・小泉内閣の構造改革を加速・強化するらしい

 まあ、銀英伝のフェザーンみたいなもので。
 第一党になったら、何をしでかすかは分からないのは、他の野党と一緒。



日本共産党
・庶民大増税に反対している。
・“マネーゲーム”、大株主、大資産家優遇の不公平税制をあらためる。

 株式を大金持ちの娯楽としか見ていない「庶民感覚」は少々いただけない気はするなぁ。「庶民」が働くその会社も、株主が損を覚悟で金出して、初めて明日の仕入れが出来るんだから。
 で、ここが通ると、株式配当の税金が二倍になる訳だ。
 身近なところでは配当。自分はゲオを現在十株ホールドしているから、配当金額は三五〇〇〇円。税金は優遇税制中のため一割で三五〇〇円。これが、税率二割になると、税金は七〇〇〇円で、三五〇〇円の損。

 けれど、消費税が上がる事は、どうやらないらしい。
 一〇パーセントをニュートラルとすると、五パーセント分の得。自分は一年で大体百万円ぐらい使っているから、五〇〇〇〇円の得。

 これを合計すると、いーかげん計算で、四六五〇〇円の得。



社民党
・消費税率アップには反対
・株式投資には触れていない

 ただ、この党は与党になった途端に今までの公約を引っくり返した事があった気がするので、話半分に聞いておいて、消費税は7.5パーセントぐらいにはなると考えると。

 いーかげん計算では、二五〇〇〇円の得。



民主党

・配当課税の廃止、軽減をするらしい
・公務員の人件費を削減するらしい
・四年後には歳入改革(増税)をするらしい
・高速道路を無料化するらしい。


 高速道路の無料化は有難――くはない。自動車運転しないし。海老名サービスエリアの近傍なので、交通量の増加で大気汚染が増加し、持病の喘息の悪化すると考えられる。
 通院費用は現状で年間一〇〇〇〇円ぐらいなので、二倍の通院が必要と考えて、一〇〇〇〇円の損。かなり少ない見積もりだが。

 配当課税が廃止された場合は、先の試算からも分かる通り、三五〇〇円の得。

 公務員の人権削減の効果は、先の試算通り二〇〇〇〇円の損。

 増税はあるが、三年間は対象外。まあ半分ぐらいということで、二五〇〇〇円の得。

 合計すると、一五〇〇円の得。



さあ、結果は?
自民党:マイナス 二〇〇〇〇円
公明党:マイナス 二〇〇〇〇円
共産党:プラス  四六五〇〇円
社民党:プラス  二五〇〇〇円
民主党:プラス   一五〇〇円


 ふむ、即物的庶民感覚では、共産党の大勝利ーーー!
 ジョークだけど。



 まあ結局財産ってさ、結局自分が自分の食い扶持稼げなくなった後の保険以外のなにものでもないんだわな。
 でも、その食い扶持稼げなくなる瞬間ってのは、いつ来るか分からない。それどころか、来ないかも知れない。
 その不安で、心の隅をじくじくと腐らせながら、ともすれば自殺できる力のあるうちにやっとこうか、なんて思いながら生きるのが、多財餓鬼ってヤツなんだろう。胃袋に食い物が収まっていれば幸せだった筈の生き物が。
 ――確定申告の話じゃあないねぇ、つくづく。


 今月は、交通費なんぞを帳簿につけ、取材費とかに充当。
 確か、帳簿つけとくだけで良いんだよなー。

 ――続きは、次回。






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