あの月が五月雨の空をめぐるよに杯めぐるジューンブライド
あの文を泣いて詰って踏みつけてえ破れもせず今は文月 すきとおるひかりのありてうつりいしかげをみまごううちなるこころ パン屋行きあれもこれもと買い漁り焼きたてのうちとつい食べすぎる 右耳の耳たぶ頻りに痛がれる母は水撒く薄曇りの中 右耳を畳に付けて振動を両手で与え鐘に耐え居る 指導する部下の年齢ふと数えかつての自分と上司を思う 若草の生い茂るよな 宗教にはまった嫁を怒鳴りつけ遺影の母に助けを求む 西に向きひたすら鐘に耐える我ラジオの外国語放送も添い 二日酔いでもないけれど身体中痛みがありてともかくは風呂 抱えこむゴミを離してからっぽの心で見るよ 前は明るい 夕風は潮の香帯びて文鳥の揺らす止まり木 海知らないね 恋愛をするなと医者に言われた人が私にくれたラブレター
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