第1回平成の短歌バトル結果

おめでとうございます!
この街を風は斜めに陽は西に曲は鼓膜を透過してゆく
なつかしい路地をみつけた雨の日は携帯電話をマナーモードに
越冬こあら
安芸賢治
記念すべき第一回の勝者は越冬こあらさん安芸賢治さんです! おめでとうございます!

作品 作者 得票
この街を風は斜めに陽は西に曲は鼓膜を透過してゆく 越冬こあら 4
なつかしい路地をみつけた雨の日は携帯電話をマナーモードに 安芸賢治 4
右脳左脳ヘッドフォーンに挟まれてラッシュアワーを渡る肉感 越冬こあら 3
"fragile" 指さきひらり英和辞書汝(な)の代名詞を引き当てる夜 宮武赤胡 3
なんとなく脈を聴いたりしませんか()酒毒の抜けた()月の浮く昼 安芸賢治 2
傘を差せど/六月の雨淡々と右肩重く重く尾を曳く 宮武赤胡 2
雨音の()ビートに二人()耳寄せて/鼓動の音まで()君に重ねし ゆふな さき 2
たとへば君()混凝土滲む()吸殻の()昨夜の姿を()思ひ描けば 未卯 1
人妻に大根届ける午後三時中央線よ地球をえぐれ 越冬こあら 1
茜空()久しくぶりの()艶やかな/その朱私の()手首刻みて ゆふな さき 1
美しき濡れた乳房の駆け込みし雨のアパート音楽みてる 榎生 東 1
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推薦作品と感想
感想: なんとなく脈を聴いたりしませんか()酒毒の抜けた()月の浮く昼
 呼びかけられる感じが好いのと、最後の七文字に情景が浮かぶようだから。

たとへば君()混凝土滲む()吸殻の()昨夜の姿を()思ひ描けば
 どういう状況なのかわからないけれど、切ないから。

なつかしい路地をみつけた雨の日は携帯電話をマナーモードに
 なつかしい路地をみつける、なんてことが素敵だから
票者: このバトルの参加作者

感想: 傘を差せど/六月の雨淡々と右肩重く重く尾を曳く
六月の雨の描写が巧いなあと思いました。

なつかしい路地をみつけた雨の日は携帯電話をマナーモードに

かわいい!分かる!

この街を風は斜めに陽は西に曲は鼓膜を透過してゆく

日本語の音がすらすらーと流れていく響きが、「音楽」なのかも、なんちゃって。

(未)
票者: このバトルへの参加作者

感想: 「この街」の歌は、リズムが良く、言いたい事が分かりやすくて好きです。すごくきもちのいい夕暮れ。
「人妻」の歌も、はやる気持ちがいきいきと描かれていて気持ちがいいです。……って、人妻!?
「傘を差せど」の歌は、二度目の重くが効いている。雨の日の気持ちの重さと足の重さを感じました。
票者: このバトルへの参加作者

感想: ”fragile”指先ひらり英和辞書汝の代名詞を引き当てる夜
新しさと格調を感じます。
右脳左脳ヘッドホンに挟まれてラッシュアワーを渡る肉感
肉感ときて、明晰な印象を共有できました。
なつかしい路地をみつけた雨の日は携帯電話をマナーモードに
青年の心根の優しさを感じます。
票者: このバトルへの参加作者

感想: ゆふなさんかこあらさんのどっちかで3首にしよう。 と、思ったけれど、無理でした。
ゆふなさんの「手首刻みて」もこあらさんの「風は斜めに陽は西に」のどっちも心をえ ぐって好かったです。硬質な光が。
票者: このバトルへの参加作者

感想: なつかしい路地をみつけた雨の日は携帯電話をマナーモードに
 実際の行動として考えると、路地を見つけた日に携帯電話をマナーモードにしておくというのは、何かおかしいが、心情風景としては充分理解出来る。感動した。

雨音の ビートに二人 耳寄せて 鼓動の音まで 君に重ねし
 耳を寄せ合う二人が実際に浮かんできて、愛らしい。

”fragile”指さきひらり英和辞書汝(な)の代名詞を引き当てる夜
 奇を衒っている感は否めないが、まあそうとしか表現できない女性がいることも理解できる気がした。そんな彼女に宜しくお伝え下さい。
票者: このバトルへの参加作者

感想:  斬新な感覚を持つ短歌に惹かれます。「ラッシュアワーを渡る肉感」ああ、 この感じわかるなあ。こんな句読んだこと無いなあ。素敵だと思いました。 「引き当てる夜」も情景が浮かびます。まだ彼女になっていない憧れの人でしょうか?英単語にふとか弱い、はかない彼女を想う一瞬のどきりとした感覚が好きです。 「美しき…」情景が本当に美しいと思いました。特に雨のアパート音楽みてるが好きでし た。
票者: その他のQBOOKS作者

感想: なんとなく脈を聴いたりしませんか()酒毒の抜けた()月の浮く昼
 ああそうですね、なんだけれども、意識の方向がはっきりしていていい。
雨音の()ビートに二人()耳寄せて/鼓動の音まで()君に重ねし
 雨音がちゃんとした「ビート」になる心情なのだろう。
この街を風は斜めに陽は西に曲は鼓膜を透過してゆく
 今回の第一等。この疾走感、格好いいなあ。

 句の切れごとに間を開ける指定をされている方がいらっしゃいますが、全体的にその 「間を開ける」ということで何かがプラスになっているかというと決してそうではないと 思います。俳句・短歌、ともに基本は立ち居姿、句切れなしで表記します。果たして効果 的か、というところをもう少し考えてみてもいいかもしれません。(みやたけ)
票者: このバトルへの参加作者