
ごんぱち
「あったよー!」
こうえんのとなりのくさむらにはいったボールを、ピトラがとってきました。
「おそいぞピトラ」
「そうだそうだ、おそいぞ」
サリスとノクタがよってきます。
「だって、くさがいっぱいはえてたんだもん」
「……ピトラ、ふく」
ラグヤがピトラのシャツをゆびさしました。
「え? うわっ、ドロボウぐさ!」
「うわっ、ひっつきムシでいっぱいだぞ、ピトラ」
「そうだそうだ、くっつきムシでいっぱいだぞ」
「……せいかくにはオナモミ」
ピトラのシャツやクツしたには、ちゃいろくてトゲトゲしたくさのみ、オナモミが、いっぱいくっついていました。
「うわっ、とってとって!」
ピトラのふくにくっついたオナモミを、みんなでとります。
「よしとれたぞ」
「そうだそうだ、とれたぞ」
「……これでぜんぶ」
「あー、やれやれ」
ピトラがホッとしていると。
「よくくっつくよなー、これ」
サリスは、オナモミを、じぶんのシャツにくっつけたりはずしたりしていましたが――。
「えいっ!」
ぴとっ。
サリスのなげたオナモミが、ピトラのシャツにくっつきます。
「あっ、せっかくはずしたのに!」
「ほれっ、ほれっ!」
ふたつ。みっつ。
サリスがどんどんオナモミをなげます。
スピードのあるオナモミが、ピトラにくっつきます。
「やったな!」
ピトラもオナモミをとってサリスに――。
「あ」
「なんだなんだピトラ、ノクタにちょうせんか?」
ねらいがちょっとはずれて、オナモミはノクタにくっつきました。
「えいっ!」
ノクタのなげたオナモミは、まったくはずれて――ラグヤにくっつきました。
「……いい、どきょうだ」
ラグヤも、オナモミをなげはじめました。
もう、だれもかれもおかまいなしに、なげはじめました。
ピトラたちはオナモミをなげながら、くさむらへはいっていきます。
くさむらには、オナモミがいくつもなっています。
「えいっ!」
ピトラはサリスにむかってオナモミをなげます。
おしい!
もうすこしでとどきません。
「そこかっ、ピトラ!」
「うわっ!」
ピトラのシャツに、オナモミがくっつきます。
いちばんからだがおおきくて、ちからのあるサリスです。ものをなげたって、いちばんとおく、はやくとぶのです。
サリスのシャツにはほとんどオナモミがついていないのに、ピトラたちはたちまちオナモミだらけになっていきます。
「うわっ、わわわっ」
ピトラはからだをひくくして、くさむらにかくれました。
(サリスとまともにあたったら、かてないや)
ピトラはどうにかこうにか、サリスからはなれます。
「がはははは、ほらほらほら!」
サリスはわらいながら、どんどんオナモミをなげます。
あしのおそいラグヤがねらわれて、オナモミだらけになっています。
(やれやれ。なんかうまいてはないかなぁ)
くさむらをコソコソあるきながら、ピトラがかんがえていると。
ギュッ。
ピトラは、なにかをふんづけました。
ふるくなったスコップでした。
スコップのあたまのほうをふむと、おしりのほうがもちあがって、おしりのほうにはオナモミがいっぱいはいったハコが、くっついています!
「うわあっ!」
はねあげられたハコから、オナモミがとびだします。
ピトラはオナモミをかわしますが、はんぶんぐらいくっついてしまいました。すばしっこいピトラでなければ、ぜんぶくっついていたかもしれません。
「ノ、ノクタのわなだ!」
シャツにくっついたオナモミをはずしながら、ピトラはあるこうとして――たちどまりました。
あしもとのくさが、むすびあわされていました。もしもこれにひっかかってころぶと、そのさきのじめんにばらまかれたオナモミがくっつくしかけです。
(ノクタって、こわい)
「がははは、ピトラ! なんにもできないみたいだな!」
サリスは、どんどんオナモミをなげています。
「そうだそうだ、なんにもできないな」
べつのばしょで、ノクタもどんどんわなをしかけていきます。
こうえんのとけいが、5じちかくになってきました。
5じのチャイムがなりおわれば、かえるあいず。おしまいです。
「がはははは、オレがいちばんだ!」
サリスがオナモミを――。
「あれ?」
サリスのてがとまりました。
「ええと……」
あんまりいっぱいなげたので、ちかくのオナモミがすっかりなくなっていました。
「まあいいか。どうせオレがいちばんだ」
そのことばどおり、サリスのシャツには、ぜんぜんオナモミがついていませんでした。
そのときです。
「――それはどうかな?」
ピトラがあらわれました。
てをうしろにまわしていて、シャツには、オナモミがいっぱいついています。
「がはは、そんなにいっぱいくっつけて、なにをいってるんだ、ピトラ」
「ぼくがただ、オナモミをぶつけられてたとおもう?」
にまぁっとピトラはわらって、りょうてをまえにだしました。
そのてには、サリスのあたまぐらいありそうな、オナモミのかたまりが!
「な、な、な、ピ、ピトラ、いつのまに!」
サリスはオナモミをとろうとしますが、まわりのオナモミはみんななくなっています。
「そうだそうだ、ピトラはにげながら、まわりぜんぶのオナモミをあつめてたぞ……」
あらわれたノクタは、オナモミだらけ。
「えいっ!」
ピトラはおもいきりサリスにオナモミをぶつけました。
サリスのシャツも、オナモミがいくつもくっついています。
「こりゃあピトラのかちか?」
「えへへ」
とけいは、そろそろ5じです。
もう、はずしているじかんもありません。
「じゃあ、ビリはラグヤだな。いっぱいぶつけたし」
「そうだそうだ、ラグヤだぞ。ノクタのわなにもひっかかってたぞ」
「うん。ぼくもぶつけたし、たぶんそうだね」
ピトラはあたりをみまわします。
「でも、ラグヤはどこかなぁ?」
「……ここだよ」
くさむらから、ラグヤがでてきました。
なぜだか、シャツをぬいでいます。
「……それから、1ばんは、ボクだから」
「あ?」
「へ?」
「え?」
とつぜんラグヤは、シャツを――いままでみんなにぶつけられて、オナモミだらけになっていたシャツを――ものすごいいきおいでふりまわしました。
シャツからはなれたオナモミは、ピトラたちにくっついていきます!
「ああっ!」
「わわわわ!」
「ち、ちょっと、ラグヤ!」
キーン・コーン・カーン・コーン……。
5じのチャイムが、なりおわったときには、ラグヤのシャツについていたオナモミはほとんどなくなり、ピトラたちはオナモミだらけになっていました。
「……あ、えりについてる」
かえりみち、あるきながらラグヤがピトラのシャツから、オナモミをとります。
「ラグヤ、ずっとあれ、ねらってたの?」
「……かんがえるじかんがいっぱいあったから」
「きょうはまけたけど、こんどはまけねえぞ、ラグヤ」
ノクタのせなかのオナモミをとりながら、サリスがいいます。
「そうだそうだ、まけないぞ」
ノクタは、そでについたオナモミをとります。
「……ふふふ」
ラグヤは、うれしそうにわらいました。
「……ボクも、まけるのはきらいだよ」
ゆうやけのそらに、あかとんぼが、いっぱいとんでいました。
<おしまい>
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